防水スプレーはいらない!とか、ワックスやオイルで代用できる!という情報を耳にしたことがあったので、本当なのか気になっていました。
防水スプレーよりも撥水効果が高く、リーズナブルで、手軽であれば代用するに越したことがありませんね。
ということで、「防水スプレーはいらないのか?」という疑問を解決すべく、「防水スプレー」「ワックス」「オイル」の撥水効果や水をかけた後の革の状態を比較しました。
革靴に防水スプレーはいらない?【ワックスやオイルで代用可能か実験】
防水スプレーをかけた場合とかけない場合どうなるのか整理
雨の日用に防水スプレーを使うことを前提として、かけた場合とかけない場合どのようになるのか整理しました。
【かけた場合】
- 雨や汚れを弾くことができる→メリット
- ツヤが少なくなる→デメリット
- 革によっては白くなったり、シミになる→デメリット
【かけない場合】
- 雨がアッパーから染み込む→デメリット
- 銀浮き・塩浮きのリスク→デメリット
- 色落ちのリスク→デメリット
防水スプレーをかけることで、「革によっては白くなったり、シミになる」ことがありますが、靴の目立たないところでテストすることでリスクを軽減できます。
そう考えると、かけない場合のデメリットの方が大きいと思います。
整理した結果
防水スプレーを使うなどして革靴の雨対策を行うことで、靴のコンディションを保つことができます。
反対に雨対策をしない事によるデメリットは多いです。
防水スプレーの不要派・必要派・代用派の意見について整理
防水スプレーの不要派・必要派だけでなく、代用派も含めた3つの意見を整理してみました。
不要派の意見
- そもそも濡れても気にしない
- 防水スプレーは革に悪い
①については濡れても気にしないのであれば確かに不要です。
②については事実かもしれませんが、定期的に汚れ落としや保湿をしていれば、革に対する悪影響はかなり少ないと思います。
かけることで白くなったりシミになったりする相性が悪い靴もありますが、靴の目立たないところでテストすることでリスクを抑えられます。
代用派の意見
- ワックスで代用できる
- オイルで代用できる
不要派とは違い、雨対策をしたい方です。
既に持っているワックスやオイルで代用できるので、防水スプレーをわざわざ雨対策として購入するのはコスパが悪いという意見です。
本当に代用できるのであれば、確かに防水スプレーをわざわざ買う必要はないかもしれません。
必要派の意見
- 手軽に撥水ができる
- アッパーが濡れると足も濡れて不快
- 雨に濡れた時のダメージのほうが大きい
①について。「代用派」のワックスやオイルでケアするより手軽に撥水できます。特にワックスを扱うのはテクニックが必要ですし、時間もかかります。
②、③については不要派に対する反対意見です。個人的には靴の中が濡れて不快な思いをするは絶対に避けたいです。
整理した結果
「不要派」の方は雨に濡れてもいい!という方なのでそれはそれでいいとして、
「代用派」「必要派」は雨対策はしたい!という意見は一致しています。ワックスやオイルで防水スプレーの代用ができて、あわよくばより撥水効果が高ければ防水スプレーを使う必要はないですね。
ワックスやオイルを使って防水スプレーの代用ができるのか次の章で実験してみました。
代用できるのか実験「防水スプレー」vs「ワックス」vs「オイル」
実験する上での条件
【革について】
ヌメ革のハギレを使用します。
【防水スプレーを使用した革】、【ワックスを使用した革】、【オイルを多く使用した革】を用意し、定期的にケアをしている革靴のコンディションに近づけるために以下のように3回ケアを行いました。
使用する主なケア用品
- レーダーオイル
- リッチモイスチャー
- エクセレントクリーム
- 防水スプレー
1回目のケア
- レーダーオイル薄塗り(1日置く)
- リッチモイスチャー
- クリーム
2回目のケア
- クリーナー
- レーダーオイル薄塗り(1日置く)
- リッチモイスチャー
- クリーム
3回目のケア
- クリーナー
- レーダーオイル薄塗り(1日置く)
- リッチモイスチャー
- クリーム
- 防水スプレー
→実験
使用する主なケア用品
- レーダーオイル
- リッチモイスチャー
- エクセレントクリーム
- ワックス
1回目のケア
- レーダーオイル薄塗り(1日置く)
- リッチモイスチャー
- クリーム
- ワックス
2回目のケア
- クリーナー
- レーダーオイル薄塗り(1日置く)
- リッチモイスチャー
- クリーム
- ワックス
3回目のケア
- クリーナー
- レーダーオイル薄塗り(1日置く)
- リッチモイスチャー
- クリーム
- ワックス
→実験
使用する主なケア用品
- レーダーオイル
- リッチモイスチャー
- エクセレントクリーム
1回目のケア
- レーダーオイル多め(1日置く)
- リッチモイスチャー
- クリーム
2回目のケア
- クリーナー
- レーダーオイル多め(1日置く)
- リッチモイスチャー
- クリーム
3回目のケア
- クリーナー
- レーダーオイル多め(1日置く)
- リッチモイスチャー
- クリーム
→実験
【実験方法】
それぞれ3回目のケアが終わった時点で実験します。
スプレーで水を吹きかけて「1分後、3分後、5分後、10分後」の撥水具合を観察します。
実験
【実験前(3回ケア後)】
右のオイルを多く入れた革が最も色が濃くなっていますね。
果たしてそれぞれの革は水を弾いてくれるのでしょうか?
【1分後】
「防水スプレーを使用した革」は水滴が立っていて、水をしっかり弾いていることがわかります。
「ワックスを使用した革」は水を弾いてはいますが、水滴の形がべちゃっとなっています。
「オイルを多く使用した革」は若干撥水できていますが、水が染み込み始めました。
【3分後】
「防水スプレーを使用した革」はほとんど変わらず。
「ワックスを使用した革」もほとんど変わらず。
「オイルを多く使用した革」は完全に水が染み込んでいます。
【5分後】
「防水スプレーを使用した革」は部分的に水が染み込んでいますが、ほぼ撥水できています。
「ワックスを使用した革」は徐々に水が染み込み始めてきました。
「オイルを多く使用した革」は革が水分を吸ったのか、それとも乾いたのか染み込んだ水の跡が消え始めました。
【10分後】
「防水スプレーを使用した革」は所々乾いたのか水滴が少なくなりましたが、まだ撥水効果を持続しています。
「ワックスを使用した革」ほぼ撥水効果はなくなり、水が染み込んでいます。
「オイルを多く使用した革」水の跡が消えましたが、ぶつぶつとシミができてしまいました。
【その後】
「ワックスを使用した革」に銀浮きが発生!革の表面が凸凹に!
ワックスを塗ることで革の通気性が損なわれます。ワックスに溶け込んだ水が革に染み込み、染み込んだ水は逃げ場を失い、銀面が浮き上がってしまったのでしょう。
結果
「防水スプレーを使用した革」は部分的に水が染み込んだが、撥水効果が続いた。定期的な革のケアを繰り返すことでさらに撥水効果が期待できそう。
「ワックスを使用した革」は撥水効果は始めだけで、5分後には徐々に水が染み込んで行った。最終的に銀浮きが発生。
「オイルを多く使用した革」は撥水効果はほぼ無く、水が乾いた後、少しシミが残ってしまった。
結論:必要なときはかけるべき!必要なケースといらないケースをまとめ
実験から分かった事実
- 防水スプレーはある程度持続的に撥水効果が期待できる
- ワックスやオイルは防水スプレーと同レベルの撥水効果は期待できない
- ワックスを塗ると水が染みた場合に銀浮きが発生する
- オイルを塗るだけでは撥水効果は期待できない
結論
ワックスでも多少の撥水は可能だが、ケアの手間がかかるし、銀浮きのリカバリーの手間も大変。
防水スプレーは手軽に撥水できて、革へのダメージもさほど無い(少なくとも数回かけて目に見えるダメージはない)。
結論、革靴を撥水したいのであれば、防水スプレーを使うのがベスト!
必要に応じて防水スプレーをかけてケアをしましょう
【必要なケースまとめ】
こんな時、こんな靴には防水をかけておきましょう。
- 雨の日に履く時
- 淡い色の靴
- スエードの靴
【不要なケースまとめ】
こんな時、こんな靴には防水はかけないでいいでしょう。
- 濡れても気にしない方
- 濡れた後のケアを楽しんでる方
- つま先に鏡面磨きがしてある靴
- かけてはいけない素材の靴
まとめ:革靴に防水スプレーは必要
ワックスやオイルで撥水できるという情報を耳にしたことがあったので、本当なのか気になり実験しました。
結果、ワックスでは多少撥水できるが、防水スプレーほどの撥水効果はなく、銀浮きのリスクがあることがわかりました。
雨の日に革靴を履く時はシンプルに防水スプレーをかけることをおすすめします。
【おすすめの防水スプレー】
ちなみに防水スプレーは「フッ素樹脂性」のものがおすすめです。有名なアメダスもフッ素樹脂性です。
アメダスよりリーズナブルなものなど、おすすめの防水スプレーをまとめましたので、防水スプレー選びにはこちらの記事を参考にしてください。
【防水スプレーの正しい使い方】
かけ方を間違えると思ったほどの撥水効果を期待できません。正しい防水スプレーの使い方を知っておきましょう。
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