靴の木型を自ら作っていて、フィッティングの専門家であり靴に関してめっちゃ詳しい”ZinRyu”さん。
「すごいフィッティング」という革靴の診断サイトも作ってらっしゃいます。
ZinRyuさんの年始早々の「靴クリームを塗りすぎると靴に悪い問題を少し言語化していこうか。」
の一連のツイートを少しでも多くの靴好き靴磨き好きに届いて欲しいので、こちらで紹介します。
塗りすぎは良くないと思っていたけど、理由が明確にわかります!
靴クリームを塗りすぎると靴に悪い問題を少し言語化していこうか。
— ZinRyu / 靴師2.0 (@Zin_Ryu) 2019年1月6日
靴クリームの機能は「艶出し」と革への「栄養補給」
「艶出し」は今回は脇に置いて、「栄養補給」について解説します。
— ZinRyu / 靴師2.0 (@Zin_Ryu) 2019年1月6日
革への「栄養補給」
靴によく使われる子牛の革は、表面の「銀面」と肉に近い方の「床面」から形成されます。革のうち床面の油分や水分の比率は、タンナーが鞣した時点で決定しており、それは年月が経ってもあまりかわりません。
変わってくるのは、「銀面」。ここが手入れの対象になります。
— ZinRyu / 靴師2.0 (@Zin_Ryu) 2019年1月6日
「銀面」についての説明はここ参照。https://t.co/1FNrddyiUU
「銀面」は革のうち0.1-0.3mm程度と薄く、革に埃がつくと銀面に含まれる油分が埃に移り持って行かれます。そうならないように、日々ブラッシングや乾拭きをして埃を落とすことが必要になります。
— ZinRyu / 靴師2.0 (@Zin_Ryu) 2019年1月6日
「銀面」に限らず革は、複雑なコラーゲン繊維の集合体ですが、その繊維の一本一本に適切な油分がないと、革が動いた際に繊維同士が擦れて傷つけあい損傷します。
銀面は特に薄いので、スレのダメージが表面に「割れ」となって出てしまうことがあります。
— ZinRyu / 靴師2.0 (@Zin_Ryu) 2019年1月6日
そうならないために、銀面のコラーゲン繊維の一本一本に適切な油分を補給するのが、「靴クリーム」の役割でもあり、「栄養補給」でもあります。
ということで、「栄養補給」=「油分の補給」であり、ビタミンとかではありません。
— ZinRyu / 靴師2.0 (@Zin_Ryu) 2019年1月6日
別のイメージで語れば、エンジンのギアに油を指すイメージですね。ギアに油を指すことで、ギアの磨耗が低減されるのと同様に、革の銀面の繊維も傷みにくくなります。
特に靴は動く回数が鞄や財布とは桁違いなので、必要な油分を常に保つことの重要性は高くなりますね。前置きが長くなりました。
— ZinRyu / 靴師2.0 (@Zin_Ryu) 2019年1月6日
靴クリームを塗りすぎると何がよくないか?
一言で答えるなら、「クリームが革に油分を与える働きを邪魔するから」です。
— ZinRyu / 靴師2.0 (@Zin_Ryu) 2019年1月6日
クリームは適量であれば、革に油分を与え美しく保ちますが、塗りすぎると銀面に浸透できなかったクリームの水分が蒸発し、カチコチな層になってしまい革を塞いでしまいます。
— ZinRyu / 靴師2.0 (@Zin_Ryu) 2019年1月6日
その塞がれた状態で、新しいクリームを塗っても、油分が古い乾燥したクリームの層に阻まれて、銀面に油分が届くことがなくなります。(もしくは届きにくくなる)
もちろん、古いクリームから革に対しては乾燥しすぎるため、油分の「栄養」が革の銀面に届くことはありません。
— ZinRyu / 靴師2.0 (@Zin_Ryu) 2019年1月6日
届かなかったクリームは、さらに乾燥して革への栄養補給を阻む、新たな壁の層を厚くしてしまいます
手入れしている本人は一生懸命栄養を与えているつもりでも、どんどん栄養が届きにくくなっている状態を作り出してしまうのは何とも残念なこと
表面はクリームのロウ分で艶やかでも、革が傷んでる状態— ZinRyu / 靴師2.0 (@Zin_Ryu) 2019年1月6日
対応策は
1)クリームを塗りすぎない
2)手入れした時はよく乾拭きをする
→余分なクリームを拭き取る3)日々の手入れで水拭きを取り入れる
→硬くなったクリームを柔らかくし、次の乾拭きで拭き取りやすく4)たまに、豚ブラシでブラッシング
→クリームを均等にならし層を薄くします— ZinRyu / 靴師2.0 (@Zin_Ryu) 2019年1月6日
まとめると、、クリームを塗りすぎない。クリームは乾燥させない。よく拭き取る。って感じ。特に屈曲部とか動くところはダメージが現れやすいので気をつける必要が特にあります。
あ、靴磨きクラスタのために捕捉すると、トゥやヒールの芯が入る部分は、特段無視しても実使用上支障ありません
以上
— ZinRyu / 靴師2.0 (@Zin_Ryu) 2019年1月6日
ZinRyuさんの「すごいフィッティング」も試してみて下さい。自分の足に合う靴が見つかります。
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