「クリームの塗りすぎは良くない!」と聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?
ではデリケートクリームの塗りすぎも良くないのか?と気になる方はぜひ最後までご覧ください。
- デリケートクリームと通常の乳化性クリームとの違い
- たっぷり塗った時の違い
以上の内容をまとめ、デリケートクリームの塗りすぎについて検証しました。
デリケートクリームの塗りすぎはダメなのか検証
デリケートクリームの成分について
まずは成分を理解しましょう。
「M.モゥブレィ デリケートクリーム」と通常の乳化性クリームである「サフィール ビーズワックスファインクリーム」の成分表示を比較しました。
クリーム | 成分表示 |
---|---|
M.モゥブレィ デリケートクリーム | ラノリン、油脂、有機溶剤 |
サフィール ビーズワックスファインクリーム | ろう、油脂、有機溶剤 |
デリケートクリームは通常の乳化性クリームとは違い、艶出しの役割がある「ろう」が極少量しか入っていません。
また、上の写真でもわかる通り水分量がとても多く8割程度が水であるともいわれます。
水分量が多いことで、メリットが2つあると思います。
- 油分によるシミになりにくい
- 栄養分である油分が浸透しやすい
つまり靴クリームによるシミの原因は油分ですが、油分が水分と同時に薄く広く革に浸透するのでシミになりにくく、革に油分がしっかりと浸透してくれます。
デリケートクリームと通常の乳化性クリームの成分の違いを改めてまとめると以下です。
- デリケートクリーム→ろうが極少量、水分量がとても多い
- 通常の乳化性クリーム→ろうが入っている
クリームの塗りすぎによるデメリットを考えてみる
クリームの塗りすぎによるデメリットは以下の2つが考えられます。
- クリームにより革の表面がコーティングされ、革が屈曲した時にコーティングが革を傷める
- 油分の入れすぎで革が柔らかくなりすぎたり、革の表面がベタつき埃が溜まりやすくなる
【「①クリームにより革の表面がコーティングされ、革が屈曲した時にコーティングが革を傷める」について】
「鏡面磨きをした一部分が屈曲してしまい鏡面が割れてしまった」という事象を想像するとイメージしやすいと思います。割れた鏡面が革の表面を傷めてしまうなんてこともあります。
ガラスレザーの靴の屈曲部分のひび割れも同じ原理ですね。
【「②油分の入れすぎで革が柔らかくなりすぎたり、革の表面がベタつき埃が溜まりやすくなる」について】
異常なほどのクリームを塗ればそうならないことはないと思いますが、オイルを直接塗らない限りあり得ないでしょう。
つまり、デリケートクリームを塗りすぎることで「①クリームにより革の表面がコーティングされ、革が屈曲した時にコーティングが革を傷める」ことがないか調べることで、塗りすぎのOK,NGがわかるはずです。
デリケートクリームと通常の乳化性クリームを塗ったくって検証
「クリームにより革の表面がコーティングされ、革が屈曲した時にコーティングが革を傷める」ことがないか。
つまり、
- コーティングができるか
- コーティングが革を傷めるか
この2点をデリケートクリームと通常の乳化性クリームで検証してみました。
検証方法
ヌメ革にデリケートクリームと通常の乳化性クリームをたっぷり塗り重ね、ヌメ革の表面の状態を観察しました。
写真のようにたっぷり塗りました。
10回ほどたっぷり塗った結果
「5回塗り重ね、乾かし、ブラッシング」を2周してみました。
このようにいずれも油分が補給されてヌメ革の色が濃くなりました。
表面を観察したところ、
デリケートクリームを塗った方はしっとりした感触はあり、革らしい繊維のザラつきはクリームを塗る前と変わりませんでした。
乳化性クリームを塗った方もしっとりとした感触がありましたが、表面がツルツルして「ろう」でコーティングされていることがわかりました。
下の写真でろうによる艶感はおわかりいただけると思います。
この後、革を折ってみてコーティングが革を傷めるかどうか観察してみましたが、肉眼で差がわかりませんでした。。。
ただし、この「ろう」が塗り重なって乾燥して硬くなり、屈曲することで革が傷つくイメージはお分かりいただけると思います。
結論
クリーム | コーティングができるか | コーティングが革を傷めるか |
---|---|---|
デリケートクリーム | できない | コーティングができないので傷めない |
通常の乳化性クリーム | できる | コーティングが硬くなれば傷めるリスクあり |
- デリケートクリームはろうが極少量なので、革の表面が厚塗りされず、重ね塗りしても大丈夫
- 乳化性クリームは革の表面にろうが厚塗りされてしまい、屈曲した時に銀面に傷がつくリスクがある
「ろう」が多く含まれる乳化性クリームは塗り重ねることで、革のダメージに繋がります。
適度に塗ること、ブラッシングと乾拭きをしっかりすること、磨くたびにクリーナーで古いクリーム(ろう)を落とすことで、塗りすぎを回避しましょう。
デリケートクリームの塗りすぎは革へのダメージに繋がりにくいので、特に気にする必要はないでしょう。
革が硬い時は思う存分たっぷり塗ってみてください!
まとめ
クリームの塗りすぎは革に良くない!
は「ろうが多く含まれるクリーム」や「オイル」には言えることではありますが、デリケートクリームはたっぷり塗っても特に問題ありません。
実際に私もごっそりすくい取ってたっぷり塗っていますが、革へのダメージは感じたことがありません。
ただし、染料で色づけされた革の場合、色落ちしやすいのでその点だけ注意してください!
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